長渕とボク #06〜 今欲しいものは本気さだけ
2020.11.27

そして4月、登校初日のことだった。

いきなり授業でデッサンのテストがあり、

ボクは一度も使ったことのないイーゼルの前に座り、静物画を鉛筆で課題に取り組んだ。

いままでデッサンなんてまともに描いたことはなかったが、

それでも学生時代に美術の授業で描いた作品は幾度も賞を取り、

県庁などに貼られたりもしていたので

割と絵には自信があったボクは、我流ながらそのりんごやバナナなどを、

写実的に模写をして、自分ではまあまあよく描けたと思っていた。

 

ところがだ、まあなんと周りのやつらの絵のうまいこと!

ボクはあまりのみんなの絵のうまさに愕然として、

それからしばらく鉛筆を持つのが嫌いになってしまった、、、。

どうやらデッサンは、立体感を表現するのに、塗り絵のように色を塗りたくるのではなく、

一本の線を幾度も幾度も重ねながら、色を埋めて陰影を出していくのだと、

そのとき初めて教わった。1つのデッサンを描くのに、十時間とか平気で要するのだ。

そのくらいデッサンについて何も知らなかった。

それが、ボクの中の最初の挫折だった・・。

 

学校の帰り、ボクはこの歌を聴きながら震えながら、トボトボと寮に帰って行った・・・。