夏の真昼、ぬる湯に浸かる。ひたすら降りしきる蝉の声。浴客は壺湯に沈んで目をつむっている老人のみ。崖線の森に黒湯の香ばしい蒸気がたちこめる。そうか、もう立秋をすぎたのか。百日紅の花が冷えた水風呂に浮いている。
2021/08/10 東京都 調布市 深大寺元町 湯守の里