あなたの実家のタンスの中身は 何処へ行くのか 〜番外編2
2021.01.19

アートディレクター NOGAMI EMIKO 

「チョキザク・・・そしてサヨナラ」

いや、編み物もミシンも興味ないからもう捨てます・・・のアナタは。

どうせ捨てるつもりならもう好きに切ったり縫ったり失敗したりでいいんじゃない?ミシンも使わず型紙もとらず「テキトーな手縫い」でも案外何とかなる。私はこれを勝手に「チョキザク」と呼んでいる。チョキチョキ切ってザクザク縫う・・・安易すぎて吹聴できない。。ハンパな長さが嫌で着なかったパンツを七分丈にしたいとか、ノベルティで貰ったけど使いにくいトートとか、捨てる手前の場所塞ぎなアレコレ。さっとアイロンで折り線だけつけたらもうザクザクと。捨てるかもなんだから不揃いだって気にしない。生活着や日用品は自分ルールの方が使いやすいから、意外なほどお役立ちに蘇ったりする。

「チョキザク」 ノベルティのトートは縦長で深すぎて使いにくかったので、テキトーに折り返してついでに少し底マチも入れてTV見ながら「手縫い」でザクザクとミニトートにしたらこれが便利で財布とスマホと鍵だけ入れてコンビニへ

 

そしてもうどうにも再生が思いつかなかったら思い切って鋏を入れ、四角い小さな布にしておく。要するにミニ雑巾にしてキッチンや洗面台やアチコチに置いておくと、これがメチャ役に立つ。濡れた洗面台のしずく、靴の汚れをさっと拭くのに、使いこまれたTシャツの残骸は素晴らしい働きを見せる。新しいキッチンペーパーじゃなくても良い事は沢山ある。

 

こうして最後に布の役割を終えてサヨナラする。

 

「始末」

物事のはじまりと終わり・そのモノのいのちや役目を使い切る事。木綿も絹も化学繊維も自然の一部を人の手を経てカタチにしたもので、きっと始まりは身体の保護だったんだろうか。はじめからそこにあった訳じゃない。裁縫も編み物もしない人が大多数の今、新品はどんどん生産され、在庫は積み上がり、そして古布は出番なく廃棄されてゆく。ちっとも役目をまっとうできないまま。

和の布も洋の布もほんの少しでも正しい始末を考え続けたら、もっと違う何処かに行けるかもしれない。