長渕とボク #04〜 あの時の空を
2020.11.25

とりあえず、そんな感じで寮生活をスタートしたボクだが、

実は同じ高校からも数名、東京に出てきていた。

そいつらのほとんどが最初から1人暮らしで、アパートを借りて生活を始めていた。

東京での知り合いが少ないボクたちは、しばらくは休日になるとその仲間たちと連絡を取り合い、

渋谷や原宿など、東京のコンクリートジャングル(笑)に繰り出し、

あまりの人の多さに、「なんのお祭りやってるだ?」って友達と話したり

当時流行っていた、セーラーズの店に並んだりして東京を実感していた。

 

ある夜、ぼくの寮の公衆電話にその仲間の1人から突然電話がかかってきた。

「おう、どうした?」

「これからウチに泊まりに来いよ」

ウチの寮は宿泊する場合、予め宿泊届を出さなくてはいけなかったので

本当は行きたかったが、当日の宿泊は当然禁止だった。

「今日はいけないわ、来週行くよ」

「まじで今日頼む!」

「いや、無理だって」

「じゃあ、いいよ。じゃあな。ガチャッ!」

みたいなやりとりをしたと思う。

 

その数日後、彼はアパートを引き払って故郷に帰っていた。

帰りたい、帰れない、青春と呼ばれた日々に・・・。