長渕とボク #28〜  寂しさゆらゆら
2021.01.26

こうして独立を考えていたちょうどその頃、学生の時の友達で唯一似たような道にすすんだ親友(ボクが勝手にそう思っている)と会っていた時、そいつが30歳を目前に故郷に帰ると言った。そいつは、エアブラシで説明図やイラストを描く仕事をしていた。

あまりに急な話だったので「えっ、なんでだよ?」と聞いてみると、そいつはもともと漫画家を目指して上京していて5年経っても芽が出なければ実家に帰るという約束を父親としていたらしい。ぶっちゃけ、親が子供の人生にそこまで関与するのか?と内心思ったが、それぞれ家庭の事情もあるだろうし、そこは僕が口を挟むことではない。(と言いながらそいつの実家に電話して東京での頑張りを必死で伝えたが・・)

漫画家にはなれていないが、もちろん絵は抜群にうまいので、仕事も何度か頼んだこともあったし、毎日その会社で夜遅くまで働き、一人暮らしで頑張っていたので、本当にその話を聞いた時にはもったいない!と思った。ボクなんかよりよっぽどセンスあるのに・・。

なのでボクは、「それなら俺と一緒に会社やらないか?」とボクはそいつに尋ねた。

ちょうど独立を考えていたのでちょうどいい。こいつがいればボクも心強い。

だが、そいつは「お前には借りを作りたくないから一緒にはやらない」と言った。

そんなこと全く思っていなかったので、その返答には返す言葉が見つからなかった。そして、引越しの前の晩、ボクはそいつを家に招き、最後の夜をいろいろ語り合った。

そして次の日、東京駅に見送りに行った。

ほんとの友達にできることって、これぐらいないのか・・。