長渕とボク #10〜 誰のせいでもなくて
2020.12.4

やがてそのバンド仲間たちとも打ち解けあい、

御茶ノ水にあるスタジオにボクもギターを抱えて足繁く通った。

いろんなことを言いあえるような仲になっていた、と、勝手に思っていた。

ある時、メンバーの1人が「ボーカルの歌唱力が気になるんだよな」と

切り出し、わりと他のメンバーも賛同していたので(自分もそう思っていた)

ボクが口火を切り、歌い方に異論を唱えて、ボーカルのやつと衝突した。

いま考えてみれば、大した演奏技術もないのに

他人のことなど言えた柄じゃないないが、

性格が災いし、つい出しゃばって本人に言う役になってしまった。

その次の練習日から、そのボーカルは来なくなった。

練習曲のレパートリーも、全てそのボーカルが決めていたのに・・。

 

次の日、そいつは学校には来ていたので、

なんとかみんなで説得してスタジオまで連れてきたのだが、

「もう俺はここではやれない」と寂しげに言い残し、

そのままスタジオを出て行った。

帰り際に、僕の顔をすごい目で睨みつけて。

やっぱり、原因はそこよねぇ。

 

口は災いのもとだ・・・。

GOOD BY ・・・。